「ギックリ腰になってしまって…」
整体院や接骨院、整形外科などの新規のお問い合わせや問診でよく聞かれる日常的なフレーズ。

「突然の腰の激痛=ギックリ腰」というのが一般的な患者さんの認識ではないかと思います。

整形外科を受診してもその原因は「筋膜性腰痛症」や「急性腰痛症」、接骨院や整体院では「ズレ」「骨盤のゆがみ」「筋肉の炎症」など曖昧な説明のまま処置されているのが現状です。

その背景にある構造や生理学的な破綻について、正しく語られることはほとんどありません。

しかし、世界的には腰痛の急性発症に関する理解は進んでおり、ギックリ腰にも「タイプ」があるというのはご存知ですか?

1.仙骨の屈曲型or伸展型のギックリ腰

臨床的に観察していると、ギックリ腰の多くは仙骨の可動パターン破綻に分類できます。

① 仙骨の両側後方屈曲型

仙骨が左右同時に後方へシフトし、周囲の靭帯・深部ファシア(※)が強い緊張を起こすタイプ。
前かがみの姿勢で激痛が起こる。

② 仙骨の両側前方伸展型

仙骨が前方に引き出されたままロックし、立位保持や後屈が困難となるタイプ。

これらはただの「ズレ」ではなく、仙腸関節・腰椎・骨盤底・横隔膜との力学的バランスの破綻であり、同時に筋膜と血管、神経系の破綻もあります。

※ファシア:全身の筋肉・臓器・血管・神経などを包みつなぐ膜状の結合組織の総称。日本語では「筋膜」とほぼ同じ意味で使われることもある。

2.血流と膜系の破綻が引き起こす 静脈性ギックリ腰

例えば、「腰が痛くて整体に行ったのに、胸椎の調整をしてもらうと楽になった」という経験はありませんか?

急性腰痛のなかには、明確な構造ストレスが見られず、静脈系のうっ血による炎症反応が先行して起こっているタイプもあります。

特に、臍帯後腔のうっ血や、奇静脈系が関与するT11〜L2(※)周囲のファシアの膨隆と熱感をともなうものは、胸椎の可動域を解放することで、速やかに改善が見られることがあります。

このタイプでは、仙骨や腰椎に直接の圧痛がなく、むしろ胸椎10番前後の緊張と可動制限が目立つのが特徴です。

(※)T:胸椎(背骨)、L:腰椎(腰骨)の略

3.「張力のシステム」としてのギックリ腰

もうひとつ、見逃されがちなのが膜系の連結破綻です。

ギックリ腰のなかには、胸郭出口〜横隔膜〜会陰膜にかけてのテンションネットワークの崩壊が起きているケースがあります。

たとえば、

• 骨盤底筋の過緊張
• 前立腺・膀胱・子宮などへの内臓ストレス
• 呼吸補助筋のアンバランスによる横隔膜の可動制限

これらが連動して、「腰部を支えるための内圧バランス」が崩壊すると、結果として腰部筋膜が防御収縮を起こし、動作不能がおこります。

この時、実際には「腰」は支えが失われただけでファシアなどは壊れていません。

こういった場合、、保険診療をしている接骨院やマッサージ店などで腰を揉んでも残念ながら治らない…。

ギックリ腰を「筋肉の急性炎症」とだけ診るのではなく、神経・血管・膜・内臓を含めた全身ネットワークの崩壊として理解する必要があります。

だからこそ、

• 副交感神経を優位にする施術
• 呼吸と骨盤の連動の再教育
• 胸椎〜仙骨を貫くファシアルテンションの調整
• 奇静脈系の還流路の解放

こういった事を初診の問診時に説明したり、意識して施術をしているかを確認をすることをおススメします。

4.ギックリ腰のまとめ

ギックリ腰には様々な「タイプ」があります。

ギックリ腰は「ズレを戻す」「炎症を冷やす」「揉む」などでは、改善しませんし、再発を繰り返すだけです。

ギックリ腰とは、「その人の身体の破綻パターン」が爆発した瞬間ということを患者さん自身も理解をして、それを正しく見抜き、丁寧に改善していくことができる施術者の院で整体を受けに行くようにしましょう!